「障がいを持っていようが、福祉の職員だろうが関係なくここで働けば夢を叶えらる法人を目指してます。」
福祉業界で働く人が『利用者の安心・安全を守りたい』『利用者の笑顔がやりがい』と思うことはごく自然なことなのかもしれない。でもそれだけで終わって欲しくない。
これから紹介する事業所は、“自分の好きな事”と“福祉”を掛け合わせて仕事をする支援員を募集しています。
沖縄市に拠点を構える社会福祉法人楓葉の会。こちらでは就労支援、生活介護、グループホーム、ショートステイを行っています。
様々な支援の中、特に注目したいのは就労支援の一つである木工事業です。『mokzo.』という独自のブランドを持ち、子ども用の椅子やおもちゃ、日用雑貨、持ち運び可能なスマートフォン用小型木造スピーカーまで手がける製品は多岐に渡ります。
福祉就労センター楓葉館を訪れ施設長の島粒希(しま りゅうき)さんにお話を伺いました。
「初めから木工にこだわっていたわけではないんです。木工をしたいという利用者さんがいて、木工をしたい職員がいて、だから木工事業がある。」
障害があろうが福祉の職員だろうがやりたいことをやれる場にしたい。やりたい事から仕事を生み、やれることの選択肢を増やす。これが楓葉の会の方針です。
「利用者の笑顔がやりがい」これだけで終わらせてほしくない。
「福祉の仕事プラス自分の好きな仕事を極めていくことで“福祉×〇〇”となった時にその分野の第一人者になれるかもしれない」
ヨガが好き。英語が喋れる。スポーツができる。そんなことでいい。今のうちから自分の興味関心のあることに挑戦しておいた方が将来のためにもなるし、何よりも職員が楽しく夢中になって仕事をすることで、利用者も楽しめるのではないかというのが島さんの考えだ。
どこにでもあるような商品を作るよりも、もっと価値のあるここでしか作れないものを作る方が職員や利用者にとって「これは自分たちが作ったものだ」と胸を張って言えるのではないか。
障がいを持っているから賃金の低い仕事でも仕方がない。福祉の仕事だから辛くても我慢しなきゃいけない。といった考え方ではなく、一人一人が好きなことを追求して形にしていく。そうすることで職業の選択が増え、障がいを持っている方の幅を広げていくことにも繋がっていく。
「地域の中で自立を」と言われるけど、“彼らに訓練が必要で本人を変える”のではなく“暮らしやすい地域”へと仕組みを変えていことが重要だと思います。そのために職員の強み・好きな事を活かして、利用者の選択肢を増やしていくことが重要だと思います。
次にお話を伺ったのは今康平(こんこうへい)さん。
以前から木工に関わる仕事をしていたんですか?
「全然。もともとはライターや編集者として働いていました。フリーライターになってからはチベットに行ったり、ヒマラヤに行ったり、ずっと旅人やってたんですよ。」
木工に取り組んだのはこの事業所に入社してから。様々な経歴をお持ちの今さんですが福祉関係の仕事に携わったことはなかったそうです。
「木工に関しては、もともと関心はありました。楽器作るのがとても好きなんですよ。ギターのサウンドホール、どうやって音が出てるのかなーって考えて、とりあえず作ってみようってやってみたり。」
「サウンドホールの穴からこんな出方をするんだから次はどんな音なるんだろう、これはちょっと改良の余地あるぞとか、ちょっとずつ穴を潰していってみたいな。」その探究心からスマートフォン用小型木造スピーカーを開発します。
このスピーカーは電源を必要とせずに音量がアップされたり、通常では聞こえないような低音が聞こえたりするということで海外でも話題となりました。
「自分のアイディア一個から始まって、それをチームみんなで完成まで導いて、何かが作られるっていうのはやっぱり喜びに繋がりますよね。」
新しい商品が開発される喜びもありますが、利用者と一緒に商品をつくっていくこともやりがいがあります。と話す今さん。
「瞬間瞬間で面白かったり感動できたりする部分が結構ある。すげー成長したなーって震えるぐらい感動したりする。そういうのはやっぱ面白い。」
「機械でやればいいじゃんって思うかもしれない。でもこの方達の方が機械よりとってもいいものを作りますよ。」
福祉×音楽。誰かにやらされているわけではなく自分の好きなことを本気で突き詰めていくからこそ、誰も想像していなかったものが生まれ、周りにいる人をも喜ばせることができるのだと感じました。
次に向かったのは、2017年4月に新しくオープンした事業所『椛 – momiji – 』です。到着した途端、福祉事業所のイメージを一蹴されました。
外観はまるで海外にあるカフェのよう。建物の中は天井、床、机、棚、全てが木で統一されたあたたかな空間。
施設のコンセプトは「遊べる博物館」。利用者の作ったおもちゃで遊べたり、木の滑り台が設置されていたり地域の子どもたちが遊べるよう工夫がされています。またこちらは利用者にとってのリラックススペースでもあります。障がいをもった方と地域の方々が同じ時間を過ごすことで誰でも集えるコミュニティスペースにしたいという思いが込められているそうです。
「このスペースでは、親御さんにもアロマの香りでホッとする時間を作りたいということがきっかけでアロマのワークショップも開催しています。」
そう話すのは仲里智美(なかざとともみ)さん。
仲里さんは多機能事業所『椛-momiji-』で就労継続B型事業、生活介護事業を担当しています。
「実はお母さん方も育児・家事・仕事と様々なことがあり、とても疲れていたりするんです。」そういったお母さんたちにニコニコしてもらえたらということで、もともと興味があったアロマの資格を取り親子で参加できるアロマワークショップを開催しています。
「日ごろの様々なストレスから体のホルモンバランスが崩れていたりするんです。」
ワークショップでは自分に合ったアロマを選んでもらいオリジナルの化粧水を作ります。その化粧水を使うことで、ホルモンのバランスが整って体調がよくなったり、イライラしなくなったり、お母さんたちの心に余裕が生まれたらと話す仲里さん。
親子向けのワークショップにしたのも、子どもたちにも椛-momiji-へ来てほしかったからだと言います。今の学校では障害のある子は特別支援学級にいるので、障がいのある方と接する機会がありません。
「イベントを通して利用者の方と出会い、知ることができる。小さいころから、いろんな人がいるということを知ってもらうことが重要かなと思って。」
小さいころから当たり前にいろんな方たちと一緒に生活する環境が大人になった時にとても活きてくると思います。
椛-momiji-が利用者の方にとっては仕事ができる・リラックスできる空間でもあり、地域の方達にとっても気軽に集えるコミュニティスペースになっているなと感じました。
”We create a diversity community”
障がいを持っている方も持っていない方も分け隔てなく一緒に時間を過ごすことでお互いに違いを受け入れられる社会づくりを目指しています。
今回社会福祉法人楓葉の会では、仕事は仕事、自分の好きなことは仕事が終わった後のプライベートの時間に、というのではなく“自分の好きな事”と“福祉”を掛け合わせて仕事をしていきたい人を募集しております。
楓葉の会で自分だけの『福祉×○○』を見つけてみませんか?