沖縄県立芸術大学の大学院を卒業して社会福祉法人楓葉の会に就職し、多機能事業所 椛momijiに配属された山城カンナさん。国内のコンクールで入賞するほど実力のある打楽器演奏者の彼女が、社会福祉法人楓葉の会でどんな働き方をしているのか。自分のやりたい音楽との両立についても話を聞いてみました。
「音楽関係の仕事を探すために芸大の就職課に行ったのですが、県内では就職先が見つかりませんでした。」
そこで、「これはどう?」と就職課の方に紹介されたのが楓葉の会。好きなことを福祉で活かせるかもしれない、と直接足を運んでみることにしました。
「実際に話を聞きに行った時、音楽を“外”へ発信していきましょうという方向性が素敵だなと思いました。法人内で楽しむだけではなく、地域の方々にも発信していくことに関心を持ったんです。木工で打楽器を作っていたスタッフさんもいましたし、同じ志を持った人と一緒に作り上げていくことが好きなので、ここでなら自分の専門を活かせるかもしれないと就職を決めました。」
現場で働きはじめてどのような感想を持っているのでしょうか。
「福祉の仕事をしている感じがしないんですよね(笑)。障がい者とそうじゃない人の壁はないなっていうことを体感しました。目の前の人と接している。純粋にそういうことなんだなと思っています。」
それでもしばらくは自分のポジションや役割について不安に感じることもありました。
しかしあるイベントを境に変化が訪れます。椛momijiが定期的に開催している「椛momiji祭」です。椛momijiでは偶数月に地域の方々と一緒に楽しむイベントを企画しています。
入社後まもない山城さんに「何かやってみない?」と声がかかりました。
「やります!と答えました。」
それから様々な企画を立て、イベント当日を迎えます。小太鼓を演奏したりボディパーカッションを披露したり。観客や利用者さんも参加できるマリンバ体験コーナーでは、その場で簡単なリズムをレクチャーし、みんなで音を奏でることができました。
「障がい者だからとおだてる方法はあまり好きではなくて。ちゃんと伝えれば本物の音楽は伝わる。そう思って演奏したので、見ている人からの反響も大きかったです。一緒に演奏したときも利用者さんが全身全霊で表現してくれて。言葉で伝えることが難しい人でも音を出すことで楽しいとか好きという気持ちは通じ合えた気がします。」
それをキッカケに利用者さんに受け入れられた感じがするというカンナさん。
このように仕事に打ち込みながらも、演奏者としての活動も充実させています。
「就職した後は演奏活動ができなくなると思ってたんですけど、就業時間も決められた通りなので日々の練習を続けられるし、上司が調整してくれて月に4回ほどはオーケストラや学校の演奏会に出演しています。ここの職場では贅沢すぎるほどに応援してもらっています。」自分の専門性を高めていくからこそ、できることがどんどん広がっていく。
今後の目標についてはこのように語ってくれました。
「楓葉の会で打楽器オーケストラをやってみたいです。チームを作って利用者さん一人ひとりの音を活かせるような演奏会を開きたい。見て聞いている人が自然と踊り出すようなフェスみたいなことをしたいです(笑)。」